ジェラートを食べに行った週の日曜日。

よく晴れた休日に、精一杯のお洒落をした。

彼へのプレゼントもある。

彼に会いたい気持ちも本物だ。




空港のロビーで、予定より早く帰国することになった仁くんを待つ。



彼の両親は海外の大企業の経営者だった。

しかし不慮の事故で他界してしまった。
それでも会社の経営を回さなければならないと、代理で私の父親が海外に飛び立った。
元々私たちの両親は懇意にしていて、助け合ってきたそうだ。


そして3年経った今年の春、経営の勉強をするために仁くんも父の元へ行ってしまった。

付いて来て欲しいと言われたけれどーー私は黒瀬先輩の元に残ったというわけだ。


婚約者が大変な時に、なんて薄情な女だろう。



そしてーー
恋人を待つロビーでも、頭の片隅で黒瀬先輩のことを考えている。


どうして私は仁くんのことだけを思えないのだろう。


仁くんだけを好きでいれたら、それ以上の幸せはないのにね。