「はぁい、カップル2組様ですねー」

入り口を通るとテンションの高い店員さんに歓迎される。


「は?カップーー」


心底不機嫌そうに反論しようとする雅美の口を相馬先輩が塞ぎ、


「2組っす!」



定員さんと同じくらい大きな声で宣言した。


「なんでカップル?」


「ここ、カップル専用の店だからな」



小声で黒瀬先輩が聞くと、相馬先輩はヘラヘラと笑った。



「一度来てみたかったんだよ」


ジェラートを食べるだけで、どうしてカップル限定なわけ?

限定的な客層にすることで、デートスポットとして流行るのかな。





「種類結構あるね」


雅美たちとは離れた丸テーブルで黒瀬先輩と向かい合って座る。


「これだけあると迷います」


雅美はひどく嫌そうだったけれど、私のテンションは一気に上がる。


ラッキーな状況だよね。


まるでデートみたいだ。


そうだ、これはデートなんだ。そう思うことで、とっても幸せな気持ちになれた。