昼休みも黒瀬先輩の隣りを陣取ることに成功し、2人で天ぷら蕎麦を食べる。
女の子の熱い視線を浴びることにもう慣れた。
いや、正確には熱い視線を受ける先輩の横で、彼女たちに睨まれているのだけど。
2人掛けの席のため邪魔することができずに歯痒そうだ。
「あ、相馬先輩。ゴール決めた」
昼食を早々に掻き込み、校庭でサッカーをしている相馬先輩が見えた。
華麗なパスワークの後に見事なシュートを決めていた。
不思議とカッコよく見えるんだよね。
「俺の教科書に落書きした犯人、希人だったんだ」
「え?あの、中庭で見せてくれた?」
下品な言葉とイラストが並んだ悲惨な教科書。
初対面の私にそれを掲げた先輩は少しも落ち込んでいなかったな。
それどころか楽観視しているようにも見えた。
「希人から話し掛けて来てね。俺が嫌がらせを受けても、落ち込んでいない様子を見てしびれを切らしたようだった」
「相馬先輩がですか?意外です」
影でこそこそするようなタイプには見えないんだよね。



