先輩は階段を駆け上がり、踊り場で私を見下ろした。
「ちなみに俺はね。良斗のことを心から恨んで、傷付けて、ぶつかって、やっと友達になれた」
だからさ、と話は続く。
「春嶋ちゃんも正々堂々、ぶつかって、良斗と向き合って。友達なんて温いことを言わず、恋人になれたら良いね」
「私はーー」
「じゃ、また」
言いたいことだけ言って、相馬先輩は階段を駆け上がっていった。
「待って!」
長い足で上る相馬先輩を追いかけようとしたが、さすがに陸上には敵いそうにない。
諦めて教室に向かう。
もっと聞きたかったな。
相馬先輩と黒瀬先輩のこと。



