下駄箱を通り、図書室に返す本があるという黒瀬先輩と別れた。
「相馬先輩と黒瀬先輩って、思ってた以上に仲良しですね」
「なんで?」
「だって黒瀬先輩、結構色々な人から誘われてますよ?放課後のカラオケとか、部活の応援に来てだとか。その度に笑顔でかわしてますけど、相馬先輩の誘いは断らないんだなって」
もしも。
今日の放課後、友達として私が黒瀬先輩を誘ったとしたらーー同じように良い返事を貰えたかは謎だ。
上履きの踵を踏み潰し、イマドキの高校生という風貌の相馬先輩は確かに人当たりが良さそうな雰囲気を出していて、話しかけやすいことは理解できる。
でも友達にいたらちょっと面倒くさそう。なんて失礼ながら思ってしまうのだ。
「あれ?ヤキモチ?俺、モテすぎじゃない?」
「いや、あなたじゃなくて!私は黒瀬先輩が…」
「そういうとこだよ」
「は?」
相馬先輩は私の顔を見て、うんうんと頷いた。



