駅から学校までの道のりを並んで歩く。
多くの生徒が利用する為、道は広く作られていて3列でも支障はないけれど、2人の後ろを歩く。
相馬先輩が黒瀬先輩の肩に手を回して、2人は数学の課題について話し合っていた。
タイプこそ違うが、仲は良さそうだ。
「今度、うちの部活、大会があるんだわ。良斗、応援に来てくれよ。黄色い声援が欲しいから女の子もたくさん引き連れてきて」
話題が変わる。
「それは無理だけど、いつ?」
「来てくれるの?」
「希人(きひと)が走るなら行くよ」
走る?相馬先輩は陸上部だろうか。
熱心に部活に励んでいる姿は想像できないけれど、放課後には部活を理由に黒瀬先輩の近くに彼が現れないことから、サボってはいないようだ。
「じゃ、春嶋ちゃんも一緒に来てよ」
「私もですか?」
「俺のカッコいい姿、見れるよ」
振り向き、わざわざウインクを飛ばされた。
相馬先輩の走る姿など、どうでもいいけれど黒瀬先輩と休日を過ごせるなら…
「行きます!」
本日2度目、相馬先輩に感謝することとなった。



