3人で電車に乗り込み、黒瀬先輩と相馬先輩の間に立つ。
リスニングに耳を傾けながら、左右を見た。
読書をする黒瀬先輩と、携帯のゲームをやりこむ相馬先輩。
それぞれが自分の時間を堪能している中で、一緒に登校する必要があるのかな…なんて笑ってしまった。
「ん?」
私の笑いに気付いた黒瀬先輩と目が合う。
「いえ、今朝も黒瀬先輩と登校できて幸せです」
「ありがとう」
爽やかな笑みに、眠気も吹っ飛ぶ。
「なあ放課後、どっか出掛けようぜ?」
え?
「良斗、バイト休みの日ある?」
唐突な相馬先輩の提案に、スケジュール帳を確認する黒瀬先輩を見つめる。
相馬先輩はゲームの画面から少しも目を離さなかったけれど。
「今週は今日だけ休み」
「じゃぁ今日にしよ。な?3人でどっか行こ」
相馬先輩の言葉に大きく頷く。
初めて相馬先輩が隣りにいてくれたことに感謝した。
放課後も一緒に過ごせる。
それって本当に友達みたいだよね。