あからさまに拒絶されないからって、先輩に言い寄る私も鈴宮先生と同じだ。


よくよく考えてみれば、鈴宮先生を非難する資格は私にはないんだよね。


だけど、

「負けませんから」


黒瀬先輩を見る。


相変わらず何事もなかったような穏やかな表情の黒瀬先輩を見て、彼にとってはこんなこと日常茶飯事なんだと解釈した。

これまでも沢山の女の子に言い寄られてきたのだろうから。

いちいち真剣に取り合っていたら、身がもたないよね。


「鈴宮先生には負けません!」


「うん?」


「土曜日はいっそフラれてしまおうと思いましたけど、諦めました。黒瀬先輩を諦めることを止めにしました!」


告白した当初は365日、好きだと言おうと心に決めていたのに。


先輩といる時間が幸せすぎて、いつの間にか早くフラれて諦めてしまおうと気持ちが変わっていた。…少し弱気になっていたのかもしれない。


あー、本当に乙女心はコロコロ変わる。

情緒不安定だ。


「黒瀬先輩が、大好きです」


言わずにはいられない。

傍に居られる内は悔いのないよう、伝え続けても良いかな?