2人が同時に私を見た。
「お2人はどういう関係ですか?」
自分でも意外なくらいの低い声が出た。
鈴宮先生を睨んで問い詰めるも、その答えは上手だった。
「見ての通りよ」
はあ?
私が乱入したというのに黒瀬先輩の腕から手を離すことなく、優雅な笑みを向けられた。
含みのある言い方に、ものすごく腹が立つ。
「見ての通り?嫌がっている先輩に、先生が一方的に言い寄っているように見えますけど」
「あら、そう?その言葉、あなたにそのままお返しするわ。毎日飽きずに、黒瀬くんに付き纏っている、あなたに」
棘のある言葉。
私を見る先生の目は鋭かった。
だけど、言っていることは正しくて。
思わず言葉に詰まる。
「傷付けちゃったかしら?ごめんね」
「……」
黒瀬くん、またね。
そう言ってコツコツとヒールの音を鳴らして、先生は私の横を通り過ぎた。
通り過ぎる瞬間、小馬鹿にしたような視線を送られても、なにも言えなかった。
だってーー
鈴宮先生は、私自身でもあるから。



