先輩と校門をくぐり、下駄箱に向かうと雅美が待ち構えていた。

華奢で色白、金髪美人。
それだけ聞くと雑誌モデルのようだ、なんて想像してしまうけど。


眉間に深く刻まれたシワと凄むような視線が彼女の魅力を台無しにしていた。


だるそうに柱に寄りかかった雅美は私とは目を合わせず、「黒瀬先輩、少し顔貸してください」と小さな声で言った。



待って。
珍しく敬語だけど、顔貸してなんて誘い文句おかしいでしょう。


下駄箱で靴を履き替える生徒たちの視線が釘付けになる。


それでも黒瀬良斗という人は、表情も態度も変えずに相変わらず落ち着いていた。



「なにかな?」


「……」


雅美が先輩を見る。

ううん、睨んでいるようだ。


待って、昨日は応援してくれると言っていたけれど、もう気が変わった?

雅美の横顔を見つめる。