「早く起きなーー」

「「うっせーな!」」


突然、大声を上げた彼女に視線を戻す。

今にも噛み付きそうな勢いで教師を睨んでいた。



「授業を受ける気がないのなら、出て行きなさい……」


焦点が定まらない目でなんとか言葉を投げた教師を少し哀れに思う。


完全にビビってるな。


本当はすごく良い子なのに。
まぁ近付きにくい雰囲気を本人が作っているのだから、手に負えないけどね。



「出て行けば良いんだろ!クソ野郎!」


床に教科書を投げて勢い良く椅子を引いた雅美は、大股で教室を出て行った。

私の後ろを通る一瞬、目が合った。



「小林さん!待って!」



教師の止める声は、乱暴に閉まった扉の音にかき消された。