駅前のファミレスに入った。

黒瀬先輩が通ると近くのテーブルの女の子たちから熱い視線を感じる。同じ学生から年上の女性まで、黒瀬先輩のことを観察していた。

ストレートな黒髪、二重瞼に綺麗な瞳。綺麗な肌。
今日はラフな格好なのに、それすら着こなしているように見えて、文句のつけようがない。


「なに食べる?」


メニューを私の方に向けてくれた先輩は注目を集めていることに気付いてはいるだろうけれど、特別意識していないようだ。


「ロコモコ丼にします」


「うん。俺は和食が良いかな」


頬杖をついて長い指でページを捲っているだけなのに、色っぽい。


片時も目を離したくない。


「煮魚定食にするよ」


凝視していたため、バッチリと視線が絡む。


不思議だ。
食堂で一方的にお昼を同じテーブルで食べていた時とは、もう違う。


先輩から誘ってくれて、一緒に夕飯をとっている現状に胸が高鳴る。



「今日、会えて良かったです」


「希人からメールが入っていて、試合に君が見に来ると書かれていてさ。俺も早く会いたくて、飛行機を少し早めの便に変更したんだ」


「そうなんですか?」


「本当は君へのプレゼントでも買ってから帰国したかったんだけど…」


「こうして会いに来てくれたことが、何よりのプレゼントですから!」


嬉しい。
好きな人が私のことを考えてくれている。

不安になることなんて、全然ないんだよね。