パスタとデザートを完食して、ジュースをお代わりした後も、肝心なことはなにひとつ話せなかった。


「仁は?」


言い出すタイミングが見つからずに落ち着かない私を見透かしたのだろう。
黒瀬先輩から切り出してくれた。


「…婚約を解消されちゃって、黒瀬先輩の元に案内にされました」


重い空気にならないよう、ヘラヘラと笑う。



「私の仁くんに対する気持ちは同情だって…」


「君はどうしたいの?」


「今はよく分からないです」


仮に仁くんの婚約を解消して、黒瀬先輩を好きだと言っても困らせてしまう。2人の兄弟仲を更に悪化させてしまうことは避けたい。


私はどうしたら良いのかな。


「仁は君と向き合ったんだね」


「…私は仁くんを傷付けただけでした」


「そんなことないよ。君はこれまで仁を何度も救ってきたはずだ」


「救われているのは私ばかりで…」


このままなにも返せずに終わっちゃうのかな。
これから先、さらに辛い局面に立つことになるであろう仁くんの傍にいて、力になれることはあるのかな。足手まといになるだけな気もする。


もう分かんないよ…。