「黒瀬先輩!私、あなたのことが好きです!」


人通りの多い廊下。


姿勢の良い背中に向かって叫ぶ。



「大好きなんです!」



生徒たちの視線が痛い。


みんな、"またか"っていう目で私を責めてくる。



それでも知っている。


観客が私を嘲笑おうとも、私に聞こえるように嫌味を投げ付けようとも、


黒瀬先輩だけは、私の味方で居てくれるってことを。



「春嶋さん、ありがとう」


足を止めて、振り返って、
私の目を見て笑ってくれるんだ。



365日。


毎日、黒瀬先輩に好きと言おう。
そう決めた。


365回好きと言い続けたら、もしかしたらあなたの気持ちが動くかもしれないから。


だからーー
私は"好き"という呪文を唱え続ける。


今日もまた人目をはばからずに愛を叫ぶのだ。