少し話をすると仁くんは眠ってしまった。
会社に戻ると父も少し前に行ってしまった。
静まり返った病室で今日の出来事をメールに記し、雅美に送った。
生花の良い香りが漂う。
思い返すは体育祭当日。
倒れた雅美を相馬先輩が運んでくれて、そこで仁くんと黒瀬先輩が鉢合わせをした。
そしてリレーの後、黒瀬先輩にフラれた。
もしも。
あの日、仁くんと会わなかった場合、
私の告白に対する黒瀬先輩の答えは変わっていたのかな。
そこにはほんの僅かでも希望はあったのかな。
そう問い詰めても黒瀬先輩は"もしも"の答えなど、くれないだろうけれど。
気になるんだ。
それに冷たく突き放してくれた黒瀬先輩の本当の心を、今日やっと理解することができたよ。
あなたは私に仁くんの傍に居てあげて欲しいと、強く願ったのだろう。
それが私たち3人の幸せだと、そう決めつけたあなたはーー私の気持ちを無視して、ひとりで結論を出してしまったのだね。



