おつりを渡して外まで見送る。

受験生らしく参考書の詰まった重いリュックを背負いながら相馬先輩は晴れやかな顔で言った。


「俺は春嶋ちゃんの味方だから」


「黒瀬先輩の親友に応援して頂けるなんて最強ですね」


「おうよ」


手を差し出され、きつく握手を交わす。

知り合って間もない頃は苦手だった。
ポジティブでいい加減な雰囲気が好きになれなかった。

外見だけで人を判断することが愚かであるか、相馬先輩に教わった気がする。


「雅美のこと助けてもらって、私まで相馬先輩に甘えてしまって。近いうちにお礼させてくださいね」


「こっちこそお礼言いたいくらいだよ。良斗に好きだと伝えてくれてありがとう。諦めずにぶつかってやって」

「はい!」


握った手を左右に振る。


約束だ。


私は諦めず、全力でこの想いを伝え続ける。

黒瀬先輩が"ありがとう"と応えてくれる限りーー