歯を見せて笑う先輩を久しぶりに見た気がした。


「そう遠くない未来、君は、俺を好きになったことを後悔する日がくるよ」


未来予知の内容はちっとも明るい話題ではなかった。

冗談のような話を笑いながらする黒瀬先輩はなにを考えてるのだろう。



「だから諦めろって?横暴すぎません?誰にも未来のことなんて分からないのに」


そうだよ。
どうして見えもしない未来を、想定することができる?いくら黒瀬先輩でも、それは無理でしょう?


「いくら先輩が!先のことを見通せるからって!私の心まで決めつけないで!」


この心の在り方だけは、私が決めるんだ。


「…そうだね」


すぐに先輩は退いてくれたけど、たぶん納得はしてくれてないのだろうな。



「未来のことなんて、分からないよね」


目尻を下げてまた笑ってくれたけど、黒瀬先輩が相馬先輩に向ける信頼しきった笑顔からは程遠い。


どうしたら黒瀬先輩は私を信頼して、もっと心を開いてくれるのかな。