結果は、6位の最下位だった。


「あー、ごめんね!俺が遅かったからねぇ」


悪い雰囲気を蹴飛ばすように、相馬先輩が笑顔で頭を下げた。


縮こまっていた1年生の顔もようやく綻ぶ。


「いや、バトンを落とした俺が悪い。申し訳ありません」


深々と黒瀬先輩が頭を下げる。


「違う!私が!私がバトンを放すタイミングが早くて!」


慣れないリレーで、焦った。


焦りから早くバトンを繋ぎたいと思ってしまったんだ。



1年生も含めて全員が謝り、誰か責める言葉は出なかった。





閉会式が近い。






「黒瀬先輩」



人の気配のない校舎裏の水飲み場で、頭から水をかぶっている先輩に声を掛ける。


暑いのかな。



「バトン、本当にごめんなさい」


「いや…俺が悪いから」


タオルで顔を拭きながら、低い声が返ってきた。



その声に、ほんの少しだけ違和感を覚える。



「先輩…?」