貧血を起こした雅美は保健の先生に帰るように指示されても頑なにリレーに出る言い張った。 他人に厳しい彼女はそれ以上に自分に厳しいのだ。 「雅美!無理しないで!」 「俺が代わりに走るから」 「また来年もあるよ」 ベッドの側で仁くんと相馬先輩と説得にあたるが、布団を被った雅美は「嫌だ」の一点張りだ。 強情なんだから! 黒瀬先輩なら上手い言葉で彼女を説得してくれると思ったけれど、入口の壁に寄りかかった彼は窓の外を眺めていた。 黒瀬先輩?