初恋の君と、最後の恋を。


観客をかき分けて雅美の元へ行く。

仁くんが私の手をとって誘導してくれた。



「雅美!」


先に駆けつけた相馬先輩が雅美に水を飲ませて、抱き上げた。


「保健室に連れて行く」


「雅美!大丈夫?」


「ただの貧血、うるさい」


青ざめた顔で睨まれても少しも怖くないよ。



駆け足の相馬先輩の後を追う。

焦った様子の相馬先輩の動揺が移る。

どうしよう…。
本人が拒絶するから雅美のお母さんは体育祭に来ないと言っていた。


「走って大丈夫?」


仁くんが私の足を見て心配そうに聞いてくれた。


「大丈夫だよ!」


構わず相馬先輩の後を追う。


そして人混みの中から飛び出してきた黒瀬先輩と鉢合わせした。