初恋の君と、最後の恋を。


騎馬戦は私のためにチーム編成を変えてくれて、ポジョンか騎士になった。今の足の状況では誰かの体重を支えられないため、周囲の気遣いに助けられた。試合は逃げ回っていたけれど、どうにか乗り切れたようだ。


校庭では次の長距離走が始まっていた。

1000メートルだ。
こちらも非常に大変な競技だけれど、うちのクラスからは雅美が出場していて、直前まで欠伸をしていたからまぁ大丈夫だろう。


心配ないよね。



「雅美、頑張れ!」


出来るだけ大きな声で叫ぶ。
彼女には私の応援なんて聞こえてないかもしれないけれど、負けず嫌いな性格が手伝って無理しすぎないといいけど…。


「雅美、頑張ってるね」


「仁くん!」


白いTシャツにグレーのジャケットを羽織った仁くんが立っていた。


「来てくれたんだ」


「騎馬戦もちゃんと見てたよ」


「逃げてばっかでカッコ悪かったでしょう」


「いや?必死に逃げる菜子も可愛かったよ」


にっこりと笑った婚約者に、リレーに対する不安が薄れていく。