「差し入れありがとうございました」
「あー、いやいや。今日も頑張ろうな」
実行委員のために先に登校して校庭で指揮をとっていた相馬先輩にお礼を言う。
既に校庭にはジャージ姿の生徒が集まっていた。
場所取りの親御さんの姿も見え始めている。
「きっと上手くいくよ」
頭を撫でてくれた相馬先輩は太陽のような笑顔を浮かべている。
元気を分けてもらえるな。
「雅美もーー」
少し後ろに立っていた雅美は御礼とは正反対の険しい表情で相馬先輩を見ていた。
「あいつどうした?」
「さあ?」
昨夜は先輩のことを真剣に心配していたし、機嫌を損ねるようなことはないはずだけど。
「希人、みんな待ってるぞ」
私の頭に置かれたままの相馬先輩の手をやんわり払った黒崎先輩は、雅美を見た。
「素直じゃないね」
「はあ?」
集団行動が苦手な雅美は体育祭に苛立っているのかな。ギャラリーも増えてきたしね。



