ゴミ箱に空き缶を捨てながら先輩は首を振った。


「残念ながら俺の言うことなんて聞かないよ。君から言ってみたらどう?」


「なんで私?」



黒瀬先輩にとんがった態度をとれる生徒は雅美くらいだよ。


「なんとなく」


「はあ?」


「それじゃぁ、行くね」


「待って!」


雅美は黒瀬先輩のバッグを掴み、引き止めた。


雅美?


「あいつ言ってた。このままじゃ出席日数も足りなくて、退学になるかもって。友達なら、なんとかしてあげてよ」


出席日数が危ないことはなんとなく聞いていたけれど、そこまでギリギリなの?
毎朝、一緒に登校していて教室には向かっているはずだ。校内でサボってるってこと?



「悪いけど、俺には無理だよ」


「なんでだよ。あんたの言うことなら聞くだろ」


彼女は引き下がらなかった。