放課後の体育祭の練習に嫌々ながらも参加する。私がいなければ騎馬はできないわけだし。


練習は必要ないと宣言して帰って行った雅美の図太さが羨ましい。



「あの子、黒瀬先輩に言い寄っている子でしょ?」

「え、どれ?」


違うクラスの話したこともない女子生徒に陰口を叩かれている声が聞こえた。もう少し小さい声で言えないかな?


未だに私は校内の有名人で、無謀な変人扱いをされている。まぁ、否定はしないけれど。


指を咥えて見ているだけのあなたたちとは違い、私は毎日、黒瀬先輩と登下校をしてお昼も一緒に食べて充実した日々を送っている。

黒瀬先輩にもう付き纏わないでと忠告されるまで、止める気はないんだ。


「く、委員長のあの走りヤバくね?」


クラスの男子生徒の声に振り向き、彼らの視線の先を追う。


「キモいし、遅いし、笑えるわ」


校庭の隅でリレーの練習をしているようで、確かに委員長の走り方は酷かった。あれじゃぁ悪目立ちしてしまうよ。

何も発しなかったとは言え、私も委員長にリレーを押し付けたひとりには違いないから、小馬鹿にする男子たちに何も言えなかった。


そっと拳を握って耐えた。