「はい???」


なにか聞き間違えたようだ。

それとも都合の良いように現実を作り変えてる?

あれ?夢の中??



「君のご両親に婚約者よりも俺が有力物件だってことを納得していただく自信もあるよ」


さらりと凄いことを言った。


仁くんは立派な人だ。


頭も良くてスポーツもできて。

まぁ確かに黒瀬先輩も当てはまるんだけどーーって、そういうことじゃないよね。




「婚約者にあって俺にない部分は、できる限り努力するよ」



「…先輩、なんか話がズレてません?」


そうだよ。
事の発端は先輩と鈴宮先生の仲を疑って、真相を確かめたかっただけだ。


それなのに、婚約者の話を持ち出してしまった。



「そう?」


「鈴宮先生とは何もないんですよね」


「ないよ」


今度はその言葉を素直に信じられた。