「楽しそうだね」
賑やかな私たちを見て黒瀬先輩は言った。
「急にどうしたの」
「なんだ良斗、妬いてるの?」
くだらないことを言った相馬先輩を後ろに追いやり、黒瀬先輩と向き合う。
「おはようございます」
「おはよう」
爽やかな笑顔。
何年経っても、その笑顔だけは変わらないで欲しい。黒瀬先輩が笑うと、周囲の温度が高くなる感覚がする。癒しっていうのかな?
「黒瀬先輩は相馬先輩の停学の理由、雅美を助けたことが原因だって知ってました?」
「いや。でもそんなことだろうと予想はしていたよ」
黒瀬先輩の答えに相馬先輩は満足そうに笑い、肩を組んだ。
「俺、やっぱり良斗より良い男だと思うんだけど」
「そうだね」
「心にもないことを!」
騒ぎながら改札を通り抜ける2人の後を追う。
自然と私も笑顔になっていた。