「仁は?」
「東京の会社に行くって先に出たよ」
「あ、そう。今日はなにするの?」
3連休だ。
予定はない。
「雅美は?」
「別に」
「じゃぁここのランチ食べたい!昨日はお腹いっぱいで食べれなくて」
「いいんじゃない」
コーヒーのお代わりを頼むためにウェイターを呼んだ雅美はランチセットも注文してくれた。
「仁くんも私の誕生日を祝ってくれたの」
「あんたの誕生日だから、帰国したんじゃないの。仁のことだからそこまで気を回したんでしょう」
忙しいのに私のために時間を作ってくれて、寂しい思いをしないように気遣ってくれたんだ。
「本当に私にはもったいない人だよね」
「そうかもな」
「それなのに私はフラフラしてる」
溜息をつく。
この想いは、優しい仁くんを傷付けるだけなのに。捨てられない。



