今日からは会社の近くに泊まるという仁くんの代わりにチェックアウトをした。
幸せな気持ちで昨日仁くんとお茶をしたホテルのラウンジを何気なく見る。
「なんで?」
ソファー席でひとり足を組んでホットドリンクを飲んでいる雅美の姿を見つけた。
彼女は既に私に気付いていたようで、目が合うと表情を緩めた。
「雅美!どうしたの?」
「昨日あんたの家に行ったらお母さんが、このホテルに泊まってるって言うから待ってた」
ショートパンツとノンスリーブのシャツを着た雅美は丸テーブルの上にクマのぬいぐるみを置いた。
「やる。あんたそういうの好きでしょう」
「うわ、可愛い」
愛嬌のあるクマをギュッと抱き締める。
「ありがとう」
ふいっと横を向いて雅美は言った。
「誕生日おめでと」
「ありがとう!」
照れ屋な彼女に抱き着く。
私は本当に幸せ者だよ。



