しばらくしてスーツに身を包み、重たそうな資料をバッグに詰める仁くんに紙袋を差し出す。
荷物になってしまうかな。
「良かったら、使って」
「開けていい?」
仁くんが紙袋から、ラッピングされた包みを取り出して嬉しそうに笑った。
「なにかな」
「気に入るといいけど…」
A4サイズのトートバッグだ。
シンプルだけれど丈夫で、肩にもかけられて使い勝手が良さそうだ。
「私とお揃いなんだけど」
「そっか。すごく嬉しいよ。大切にするね」
「うん!」
「早速、本を入れて行くよ」
彼からもらった想いを少しでも返すことができたのならいいな。



