お母さんへのお土産に植物オイルを購入して、仁くんのオススメのお店でディナーを堪能する。

カジュアルなレストランで気兼ねなく食事ができる雰囲気だ。


「英語の勉強がね、なかなか進まなくて。私、頭悪いからさ…」


「そんなことないよ。聖可高校に入学できた菜子の実力なら、大丈夫だよ」


「う〜ん」


「部屋に戻ったら、勉強みてあげるよ」


「え?でもテキスト持ってきてないよ」


デートに勉強道具なんて必要ないと思ったけれど、持ってきたら良かったかな。



「英語のテキストなら俺が持っているよ。不安でさ、ずっと持ち運んでいる。御守りみたいな感じかな」


住み慣れた土地から言語すら違う見知らぬ土地に旅立つ不安と、恐怖。


そしてそれらが完全に拭いきれていないからこそ、御守りとして持ち歩いているんだ。



「仁くん…色々と大変だよね。全然力になれてなくて、ごめんね」


「なに言ってるの。君がいるから頑張れるんだよ」


「私……」


「さ、冷めないうちに食べよう。菜子の好きな海老フライだよ」


特大の海老フライと、食欲をそそるスープの香りが漂う。


「いただきます!」


熱くなった目頭を押さえて、海老フライにかじり付いた。