だから、祖父が亡くなってもう病院に行かなくて良くなった時にホッとしたんです……そんな自分が情けなくて……祖父に申し訳なくて……。
私は祖父母と暮らした町を出て両親と暮らした街にある児童養護施設に入所したんです。
そこですぐに平原さんと引き合わせてもらって、平原さんは父を知ってました。
どう言う関係かは聞いてませんが、平原さんなら頼ってもいい人だと思って……今までずっとお世話になってるんです。

私は最後まで必死で溢れそうな涙を押し込めて話した。
高嶺さんは、それを時々相づちを打ちながら静かに聞いてくれた。

話終わると私はまたふ~っと息を吐く。
そしてゆっくり高嶺さんの方を向いた。

「良くわかった。話してくれてありがとう。鈴加をおかしくした医者には腹が立つし、小さかった鈴加をひとりにして見舞いにも行かなかったご両親やじいさんたちにもむかつくけど、医者の立場からしたら、泣いてばかりの小さい患者は正直扱いに困っただろうし、治療も進まないんじゃイライラもしただろうなぁ……医者にしてみたら治療としてやってる正当な行為を嫌かがられて拒否されて暴れられたら、俺でも凹む。ただでさえ痛いことや辛いことばかりしてる自覚あるからなぁ~」

そうか……私…自分のことばかりで、治療してくれいていたお医者さまや看護師さんの気持ちまで考えたことなかった……。
やっぱり悪いのは……私……だったんだ。