何で?
どうしてこんな話が聞きたいんだろう?
やっぱりお医者さまだからかな?
あのときの事は思い出すだけでも正直辛い。
あのときの嫌な臭いやあの人たちが私にあびせた冷たい言葉がよみがえってきて身を震わせる。
それをふり払いたくて大きく息を吐いた。
その様子に気がついたのか?高嶺さんはそっと肩を抱き寄せてくれる。
あたたかい。
あのとき私が欲しかったのは、こんなあたたかさだったのかもしれない。
鈴加:えっと…。私がおかしいことに祖父母がすぐに気が付いて、私はその日のうちにその病院を退院して新幹線で父が働いていた病院まで連れていってもらったんです。あの、父は医者だったんです。ちなみに母は同じ病院で医療事務をしていて……。私を見て父は凄く怒って……入院していた病院に電話してかなり抗議したらしいんですけど、見舞いにも来ない親が悪い!みたいに言われたらしくて…おまけに働いていた病院の系列病院でそれ以上は強く言えなかったみたいで……。
高嶺:そうか……それはお父さんもお前も辛かったな…。
そう言われてじわっと涙が出そうになった。
でもまだ話は終わってない。
私はまた話始める。
鈴加:それで、私はすぐに父が働いていた病院に入院したんですけど、その時にはすでに病院やお医者さまや看護師さんすら怖くて……泣くしわめくし暴れるしで大変だったみたいで、治療も進まなくて……結局1ヶ月もしないうちに両親があきらめて家に帰ったんです。
高嶺:家に?退院して自宅で療養ってことか?
鈴加:はい。と言っても、ご飯すらまともに食べれなくて…ひとりにできないからって祖母が来てくれたし、母も仕事休んでついていてくれて、それでも私がもとに戻るまでに時間がかかって…両親にも祖父母にも凄く迷惑や心配をかけました。特に父は私に嫌がる医療行為を自宅でしなくちゃいけなかったから余計に辛かったと思います。
高嶺:なるほど、それが原因で注射器見ただけで気絶なんてことになったのか?知らなかったとは言え、悪いことしたな……。
鈴加:高嶺さんのせいじゃないです!だから謝らないでください!私が弱いだけです。あれからずっと病院行くのがキライで……父がいた頃には何があっても父が何とかしてくれたんで、ずっと病院には行かなかったんです。両親が仲良く揃って事故で亡くなってからも、祖父母と暮らしていたから病気嫌いはわかってもらってて、よほどの時だけ近所の医院の先生が往診してくれて……でも、祖母が亡くなって、祖父が病気になったときにあのときの病院であの先生と再会して……。向こうは覚えてなかったから良いんですけど、病院でたまにすれ違うだけでも怖くて……
どうしてこんな話が聞きたいんだろう?
やっぱりお医者さまだからかな?
あのときの事は思い出すだけでも正直辛い。
あのときの嫌な臭いやあの人たちが私にあびせた冷たい言葉がよみがえってきて身を震わせる。
それをふり払いたくて大きく息を吐いた。
その様子に気がついたのか?高嶺さんはそっと肩を抱き寄せてくれる。
あたたかい。
あのとき私が欲しかったのは、こんなあたたかさだったのかもしれない。
鈴加:えっと…。私がおかしいことに祖父母がすぐに気が付いて、私はその日のうちにその病院を退院して新幹線で父が働いていた病院まで連れていってもらったんです。あの、父は医者だったんです。ちなみに母は同じ病院で医療事務をしていて……。私を見て父は凄く怒って……入院していた病院に電話してかなり抗議したらしいんですけど、見舞いにも来ない親が悪い!みたいに言われたらしくて…おまけに働いていた病院の系列病院でそれ以上は強く言えなかったみたいで……。
高嶺:そうか……それはお父さんもお前も辛かったな…。
そう言われてじわっと涙が出そうになった。
でもまだ話は終わってない。
私はまた話始める。
鈴加:それで、私はすぐに父が働いていた病院に入院したんですけど、その時にはすでに病院やお医者さまや看護師さんすら怖くて……泣くしわめくし暴れるしで大変だったみたいで、治療も進まなくて……結局1ヶ月もしないうちに両親があきらめて家に帰ったんです。
高嶺:家に?退院して自宅で療養ってことか?
鈴加:はい。と言っても、ご飯すらまともに食べれなくて…ひとりにできないからって祖母が来てくれたし、母も仕事休んでついていてくれて、それでも私がもとに戻るまでに時間がかかって…両親にも祖父母にも凄く迷惑や心配をかけました。特に父は私に嫌がる医療行為を自宅でしなくちゃいけなかったから余計に辛かったと思います。
高嶺:なるほど、それが原因で注射器見ただけで気絶なんてことになったのか?知らなかったとは言え、悪いことしたな……。
鈴加:高嶺さんのせいじゃないです!だから謝らないでください!私が弱いだけです。あれからずっと病院行くのがキライで……父がいた頃には何があっても父が何とかしてくれたんで、ずっと病院には行かなかったんです。両親が仲良く揃って事故で亡くなってからも、祖父母と暮らしていたから病気嫌いはわかってもらってて、よほどの時だけ近所の医院の先生が往診してくれて……でも、祖母が亡くなって、祖父が病気になったときにあのときの病院であの先生と再会して……。向こうは覚えてなかったから良いんですけど、病院でたまにすれ違うだけでも怖くて……
