「あれ?実咲ちゃん?おかえり~♪」
途端に相良先生の顔がぱぁっと満面の笑顔って感じになって現れた女性に駆け寄っていく。

なんか……相良先生のおしりにわんこのしっぽが見える??可愛いかもしれない。

思わずくすっと笑ってしまって、それに気がついた高嶺さんが不思議そうに見てくるので焦って額を高嶺さんの胸に押し付けてしまった……。

「おかえり~!じゃありません!燈真さん何してるんですか?こんなところで私を抱っこする話なんて!恥ずかしい!」

うわぁ~やっぱりなんか怒ってる?
でも、怒ってるけど可愛い人だなぁ~

私はついつい怒られてる相良先生が珍しくて二人のやりとりをじっと見つめてしまった。

「ところで平原先生?その女性はご紹介いただけないんですか?」

不意に私の方を向いて彼女が口を開いた。
どうやら相良先生との話は終わったらしい。

高嶺さんはまったく動じずにクールに、またあの台詞を吐く。

「やぁ!おかえり実咲さん。こいつは俺の婚約者の鈴加だよ。今日から同棲するんだ、これから長い付き合いになると思うからよろしくね!」

なっ!同棲じゃないよ~同居だよ!それもお試しだからね!!

そう言いたいのに、なぜか私の口は高嶺さんの手によって胸に押し付けられていて声を発することができない!

なのに実咲さんと呼ばれた女性はまったく気にする素振りもなく納得したらしく、恥ずかしくて真っ赤になってる私に向かって自己紹介までしてくれた……。

「こんばんは。はじめまして、相良燈真の妻の実咲です。平原先生の2つ上の階に住んでるので今度ゆっくりおしゃべりでもしてくださいね♪」

にこやかにそう言われて、私もせめて名前くらいは言いたい!と高嶺さんに視線でアピールする。
さすがにわかってくれたらしく、高嶺さんはゆっくり私を降ろしてくれた。
ただし、腰にはガッシリ高嶺さんの腕が回っている……。