そんな感じで一時間以上お互いにアレコレおしゃべりしていたら、外が真っ暗になっていた。

「わぁ!綺麗!」

おもわずリビングの大きな窓に走り寄る。
窓からはキラキラと光る夜景が見えた。

「お前って……こんなので喜ぶのか?」

高嶺さんが不思議そうにそう言うから、私は初めて見たからすごく綺麗でびっくりしてるんです!とあわててごまかす。

「ふ~ん。まぁ今夜からは毎晩見れるから、とりあえずメシ食べに行くぞ!」
「は~い!」

動き回って久しぶりにお腹がペコペコな私はものすごく素直に返事をしてしまった。
その様子に高嶺さんが笑う。
それがまた可笑しくて私も笑う。

二人でひとしきり笑いあった後に仲良くマンションを出て近所の中華料理屋さんに歩いて向かった。

5分も歩かないうちに到着。

高嶺さんがよく通う店だと歩きながら話してくれた店は、思っていたよりキレイなお店だった。

店内に入るとガヤガヤとにぎやかで、高嶺さんは慣れたように店の奥に進んでいくのであわてて追いかけた。

一番奥のテーブルだけがなぜか空いていてそこに座るとすぐに女性店員がお水を持ってきてくれた。

「いらっしゃい!平原先生。ちゃんとお席はとっときましたよ!ご予約ありがとうございます。」

ニコッと笑った顔が印象的な店員さんだったので、ついつい凝視してしまう。
そんな私に苦笑いの高嶺さんは、店員さんを紹介してくれた。

店員さんはお店の厨房で鍋をふるう店主の奥さまで、数年前にたまたま昼食を食べに来ていた最中に腹痛で倒れた奥さんを診察して治療したのが縁で通うようになったらしい。

「で?平原先生の彼女さんですか?」

えっ?いや、あの……

困って固まる私。

つい視線は助けを求めるみたいに高嶺さんに……。

すると高嶺さんはフッと鼻で笑うみたいな声をあげながら店員さんに彼女じゃなくてフィアンセだからよろしくね!と言い放った!!

なっ……ナンデソウナル!?

あっという間に恥ずかしくて真っ赤になった私。
店員さんが見ないフリして離れてくれて本当に助かった。