はつ恋の君をさがしてる

高嶺さんのマンションでも、荷物の搬入はあっという間だった。
高嶺さんも高成さんも手伝ってくれて、私の部屋にと用意された一室がみるみる整っていく。

部屋にはちゃんと私用に新しいシングルベッドも用意されていたし、作り付けの本棚には持ち込んだ私の本を納めてもまだまだ余裕がある。
小さな仏壇も部屋に置いたチェストに今までと同じように安置されたし、テレビもノートパソコンも高成さんがパパッと繋げてくれて驚いた。

高成さんはメカに強い弁護士さんらしい。
高嶺さんはこの時も高成さんからアホ認定されていた……笑っちゃいけないのについついみんなで笑ってしまった。

そして、本当に1日で私の引っ越しは終わってしまったのだ!

危惧していた食器も女性陣の活躍で高嶺さんの部屋の食器棚にキレイに全部納められていた。
あとは洋服や下着などを自分で片付けるだけだ。

そして、平原さんと事務所のみなさん、高成さんは帰っていった。
私は最後の一人まで頭を下げてお礼を言って見送った。
みんなは
「いつでも事務所に遊びに来てください!」
「困った事があったら話に来てね~!」
等々。
優しい言葉をかけてくれて本当に嬉しかった。
普段は人見知りで話ベタな私だけれど、今日は本当にたくさん話したし、楽しい1日だった気がする。

最後にマンションを出た平原さんと高成さんが、何かあったら何時でも構わないから連絡しなさい!いつでも事務所や家に来ていいからね?と何度も年を押すように言いながら帰っていくので、高嶺さんはちょっと呆れていたようだった。

ガヤガヤとにぎやかだった部屋が突然静かになって……
私は途端に緊張し始めた。