はつ恋の君をさがしてる

その後は高嶺さんと高成さんが持参してくれたお寿司の折り詰めで、みんなで昼食をとり、いよいよ荷物を高嶺さんのマンションに運ぶことになった。

私は出発したトラックを見送った後で簡単に部屋の掃除をし、冷蔵庫の電源を切る。

高校を卒業して初めての一人暮らし。
色んな事があった。
ずっとこの部屋ですごしてきた。
ちょっとさみしくなって泣きそうだ…。

そう思いながら部屋を見渡していたら、不意に後ろから抱きしめられる。

驚いて飛び上がりそうになる身体をぎゅっと後ろから伸びた大きな手が捕まえてきた。

おそるおそる首だけで振り向くと、やっぱり高嶺さんだった……。

「あの……?」
「大丈夫だよ、今はさみしいかもしれないけど、そんなの俺がすぐに忘れさせてやるから!」
妙に自信たっぷりにそう言われて溢れかけた涙が笑いに変わった。

「はい。楽しみにしてます!」

そうして、私は思い出の詰まったアパートと大家さんに別れを告げて、高嶺さんの車で新しく生活を始めるマンションに向かった。