はつ恋の君をさがしてる

なんやかんやと作業は進み、昼には積み込みはほぼ終了してしまった。

「あの!飲み物色々あるんで…良かったらみなさんで飲んでください!!」

私は冷蔵庫からペットボトルの飲料をだして紙コップと一緒にテーブルへ。

みんな次々に好きなのをコップについで飲んでくれてホッとする。
出すタイミングが難しくて昼になってしまって申し訳ない気持ちだった。

そこにやっと高嶺さんが登場!?

「悪い!仕事がなかなか終われなくて遅れた。」

平原さんや事務所のみなさんに謝りながらの登場だった。

私は朝から姿が無かったから、てっきりマンションで待っているのか?と思っていたのでびっくりした。
さらに高嶺さんの後ろからは高嶺さんに良く似た少しだけ背の低い男性が顔を出した。

「どうも。はじめましてだね、鈴加さん。」

すぐに平原さんが紹介してくれる。
昨年から事務所で一緒に働いている長男さんの高成(たかなり)さん。
高嶺さんの3つ年上のお兄さんだ。

「先日はうちの高明に可愛い手編みのケープをプレゼントしてくれて、本当にありがとう!妻が凄い!を連発して早速健診に着せていったんだよ~ママ友さんにも好評だったみたいで喜んでた。ありがとう。」

「いえ、そんな……。こちらこそ使っていただけてありがとうございます。」

高成さんはスマホでわざわざ息子さんの高明くんが私の編んだケープを着ている写真を見せてくれた。

「わぁ!可愛い♪」
ぷくぷくの赤ちゃんについつい頬が緩む。

「なんだ?鈴加は赤ちゃん好きなのか?だったら早く俺たちも子ども作ろうぜ?」

はぁ?

高嶺さんの言葉に思わず固まる……。

それを見た高成さんが高嶺さんの頭をゲンコツでいきなり殴った。
と言っても軽~くだが……

「ってぇ!何すんだよ兄貴!」
「お前がアホだからだよ!」
「アホってなんだよ!ひでぇなぁ~これでも医大に現役合格した秀才だぞ?」
「だったら、頭良すぎてアホなんじゃないか?」
さらっとそう言って高成さんは私に苦笑いで頭を下げる。
「アホな弟だけど、収入だけはあるから好きなだけたかっていいから!よろしく面倒みてやってね?」

そばで一部始終を見ていた平原さんまでが、そうだぞ~!なんて囃し立てる。

私は一気に恥ずかしくなって真っ赤になった顔を隠そうとトイレに逃げ込んだのだった……。