はつ恋の君をさがしてる

考え込んでいるように見えた高嶺さんが、勢い良く顔を上げて私を見つめる。
見つめられると途端に緊張してきてゴクンと唾をのみこんだ。


「わかった。俺にはデメリットなんか無さそうな提案だが、鈴加が俺と暮らしてくれるなら、そのお試し同居に乗るよ!」

そのあとはあっという間に話が進んでいった。

引っ越しは2日後の金曜日。
高嶺さんが1日お休みの日に合わせて私が有給休暇を取ることになった。

急なので引越業者は頼めないから、平原さんの弁護士事務所の若手社員さんたちに手伝いを頼むことに……

荷物はさほど無いけれど、古い冷蔵庫とちょっと壊れているベッドは置いていくことにした。

高嶺さんのマンションの使われていないひと部屋を私が使うことになり、ベッドは高嶺さんが新しいものを用意してくれる事になったからだ。

その夜二人が帰った後、正直疲れていたし夕食も結局食べ損ねたしぐったりだったけれど、引っ越し作業は待ったなしだし、少しでもと思ってとりあえず本棚の本たちをコンビニから貰ってきた段ボール箱に詰めたり、不用品と持っていく物とを選別する作業に没頭した。

何かしていないと不安だったから………。