はつ恋の君をさがしてる

すごい勢いで食べる高嶺さんに私はびっくりしたけれど嬉しかった。
平原さんが言った通り何度かは料理を食べてもらったことがあるし、ビーフシチューのリクエストも1度はあったけど、そのほとんどが私が一人で過ごすのが辛い両親や祖父母の命日で、ひとり暮しを始めたばかりの頃だったと思う。

だから誰かに食事を作って食べてもらうのは久しぶりだった。

「あ……わるい。ついがっついたな、普段からゆっくり食べる時間がないから早食いになってて………」

私がぼーっと見ているのに気が付いた高嶺さんが焦ったように釈明してくる

「高嶺?素直に旨くて箸が止まらなかったと言ったらどうだ?」

平原さんにそう言われた途端に高嶺さんの顔が真っ赤に染まった。

え?

私はすぐにはその意味が分からなくて戸惑ったけれど、意味を理解したらこっちが恥ずかしくなってその場を離れてお茶を入れることにした。