人材育成担当
主な仕事は新入社員の教育。
適材適所をスローガンに迅速に新入社員達を即戦力となるように教育し、自信を持たせて、配属部署に馴染ませること。

そして、全社員のスキルアップ。
常に新しくなる情報を周知し、浸透させるための講習会を開催。
資格取得を促し、受験のための手続き等の事務作業も補助する。

「簡単に仕事内容を説明するとこんな感じかしら?まぁあんまり難しく考えないでね?」
ホワイトボードに書き込みながらニコニコと説明してくれる逢坂主任には悪いのだが、全く自分が役に立つ気がしない……。

「茜さん……もうちょっと具体的な方が分かりやすいんじゃないですか?とりあえず澤田さんに実質的にしてもらう仕事内容を説明すべきでは?」
そう発言したのは松永さつきさん。
その隣でウンウンと頷いているのが早川優壱朗さん。
二人は同期らしい。

松永さんは昨年までは秘書課に所属していたのを逢坂主任に引き抜かれた。
早川さんは入社直後からずっと人材育成担当にいるのだそうで、大学生の頃に塾講師のバイトをしていたのを見込まれての配属で、新人の頃は非常にやりずらかったと苦笑いで話してくれた。

そして、加賀山泰宏さん。
五十代後半の加賀山さんがこの人材育成担当の発案者で創設者らしいのだが、本人は役職がつくのを嫌がって、定年まで平社員を通すつもりらしい。
と言うのを先ほど紹介された時にご自分で教えてくれた。
ちょっと変わった人かも?

しかし、一番驚いたのは人材育成担当はこの4人が主要メンバーだと言うこと。
講習会の時には全く気がつかなかったのだが、忙しくて人数が必要な時にのみ総務課の人事部から応援を頼むこともあるが、それ以外は4人でほとんどの業務をこなしているのだと言う。