目を覚ましたのは２時間後。

最初に見えたのは白い天井……
なんだか見たことあるかも？
デジャ・ビュを感じて顔をわずかに動かすと、つぎに視界に入ったのはあきらかに怒った顔の高嶺さんとしょげた表情の高成さん？

「あれ？私……副社長室に居たんじゃ？」

「そうだな、兄貴から電話もらったのは確かに鈴加の会社の副社長室からだったな。お前倒れたんだよ……たぶん精神的ストレスと貧血。」
「ごめんね、ちょっと悪のりし過ぎて鈴加さんに負担がかかっちゃったみたいで……本当に申し訳ない。」
そう言うと高成さんは深々と頭を下げた。
そして副社長室での茶番劇の全てを説明してくれた。

今回のことは全て副社長の企てたお芝居だったらしい。
３人組に本気で自分たちのしたことをきちんと反省してもらうために……
だが、被害者が私だと言うことは本当に副社長室に入るまで知らなかったのだそうで、あの時の怒りは本物だったらしい。
副社長のほうも知らなくてかなり焦ったみたいだけど、芝居の方は打ち合わせた台本通りで、私があの場で倒れなければ３人組に自主的に謝罪させて場を納める予定だったらしい。

私が倒れたためにあの後はちょっと大変だったらしく、電話で高嶺さんから指示を受けて私を病院に運んだ高成さんは、副社長にその後を任せてきてしまったので、３人組がどうなったかまではまだ聞いていないらしい……

「本当にごめん。本気で告訴とかはないと思うけど、鈴加さんがしたいなら勝訴するのは楽勝だと思うし、慰謝料とかの話は半分本気だし。」
「兄貴！今はやめてくれよ、鈴加はなんにも考えなくていい。寝てろ！夕方迎えに来るからそれまでは寝てろ。」

二人はそう言うと部屋を出ていった。