そこに軽いノックの音が響いた。
「副社長。弁護士の先生がいらっしゃいました。お通ししてよろしいですか?」
女性の秘書さんからの入室を問う声に副社長が頷くと、ドアの前に控えていたがっしりした男性秘書が無言でドアを開ける。

現れたのはネイビーの細身のスーツを纏った男性。
ダークグリーンのネクタイに見覚えがあるなぁ?と思いながら視線を上に向けると……。

「え?高成さん?」
「あれ?鈴加さん?」

お互いに見つめ合いしばし呆然とするも、すぐに副社長の知り合いか?という問いかけで我にかえった。

「あぁ。弟の婚約者だよ、昨夜家に挨拶にきてくれたんだが、まさか?被害者って鈴加さんなのかい?」
不思議そうに私と副社長、そして泣きじゃくる3人組を順番に見回した高成さんは、副社長にどう言うことかと詰め寄った。

「すまない。私の監督不行き届きだ。」
「で?どう決着をつけてくれるんだ?鈴加さんは我が家の大切な一員なんだぞ!」

それはよく知る高成さんの声とは思えないほどに低く怒りがこもっていて、私でさえ怖いと感じた。

うわぁ……これはどうしたら?
なんか、どんどん話が大きく深刻になっていく……。
3人組だけでなく、私も泣きたくなってきた……。