はつ恋の君をさがしてる

「なぁ？大丈夫か？さすがに疲れたな……うちの連中には呆れただろう？親父も鈴加が普段知ってる親父と違ってたんじゃないか？」

疲れきって若干ぐったりしていた私は素直にそうだね…なんて答えてしまって焦る。

「いや、あの、でも平原さんは頼りになるいい人だし、お仕事の時と家庭での時とじゃ違うのは当たり前なんじゃないかな？」

おずおずとそう言いながら隣に座る高嶺さんをそっと見上げてみる。
高嶺さんはちょっと困った顔をしながらも私の言葉に頷いてくれた。

「まぁそうなんだけどさ……で？どう思った？」
「どうって？」
「だから！うちの連中はかなり本気なの。今日の様子で分かったよな？あの連中と家族になるってこと！あんなでも俺には自慢の家族なんだ……だから鈴加がいつか加わってくれたら……ってちょっと考えた。」

それって…？
まさかのプロポーズ？
いや……まさか……。

「あ！悪い！今のはプロポーズとかじゃないから！そう言うのはもうちょい鈴加も俺もちゃんと知り合ってからにしよう。」

高嶺さんはそう言うと明日早いから先に風呂使うぞ！といつものポーカーフェイスでリビングを出ていってしまった。

なんだ……違うのか。

なんだかホッとしたよう気もするのに、残念な気もして、モヤモヤとした気分のままソファーに身を預けていたら、そのまま眠ってしまった。
その事に気がついたのは日付けが変わる頃。
自分のくしゃみで目を覚ますとは……
ソファーで寝てたのが高嶺さんに見つからなくて良かった。
私はあわてて立ち上がると明かりを消して静かにリビングを出た。
高嶺さんはすでに休んでいるみたいでシーンとして物音はひとつもしない。
「私もお風呂入って早く寝なくちゃ。明日からまた仕事だし。」

独り言をつぶやくのは独り暮らしをしていたときからの癖。
高嶺さんと暮らすようになってから減ってきた気がしたんだけどなぁ……。