はつ恋の君をさがしてる

「少しは落ち着いたか?」
ぽたぽたと落ちて涙が染みになったスカートをうつむいたまま眺めていたら、隣からすっかり聞きなれた優しい声がして、温かい手がぽんと頭の上にのせられた。

どのくらいそうしていたのか?
ハッとして顔を上げたらみんなが心配そうな顔で私を見ていた。

「あっ…あの…すみません。」

あわてて頭を下げる。
「つい、懐かしくなって……すみません。こんなふうに大勢で食べるのは久しぶりで、祖父母や両親がいた頃のことを思い出しちゃったみたいで……。」

変な誤解をされたら困る。
そう思ってあわてて弁解してみる。

「良かった。私のご飯が泣くほど美味しくなかったのかと思っちゃったわ!」

真紀子さんがわざと茶化すように言いながらホッとしたように笑って、平原さんがそれだけはないだろう!と必死にフォローする。
そしてまたみんなが何事もなかった様に食事を再開する。

でも、一番ホッとしたのは私だ……
祖父母や両親の事を聞かれるんじゃないかと思っていたから、話したくない訳じゃないけど、かわいそうな子って思われるのが嫌で……。
それに楽しい夕食の時間をただでさえ重い空気にしてしまった気がしていたから…。