「ねぇねぇ満瑠ちゃん。いつも思ってたんだけどさ、なんでメイク落とさないの?」



ほんの1時間前の、キスの余韻から抜け出すことができず。

ひとけの少ない大浴場で、早瀬くんのことを思い浮かべながら身体を洗っていると。



あとからやってきたここちゃんが私のとなりに座った。



「へ…?あぁ、メイクはね部屋の洗面台でじっくりゆっくり落とそうかなって」

「そうなの?メイクしたままで、頭洗いにくくない?」

「ううん。上向いてたら洗えるし平気だよ」

「へぇ。変わってるねー」

「あはは…」



本当は、すっぴんを見られたくないだけだ。