校門まで戻ってきたところで、深々と頭をさげた。
「いーよいーよ、ちゃんとお礼はもらうつもりだし」
「……お礼?」
早瀬くんが私との距離を1歩詰めたから、何をするつもりだろうとキョトンと見あげた。
「そう、さっき言っただろ?」
バチッと視線が重なったとき、彼の顔がほど近くにあって。
「ちょっ……」
お互いの鼻先が掠れ、唇に柔らかいものが触れた。
「……!?」
チュ、という短いリップ音が。
私は早瀬くんにキスをされているのだと、混乱した頭に教えてくれる。
「……っ!」
かっと焼けるように熱くなった顔を勢いよく背けると、唇に触れていた柔らかい感覚が消えた。