薄ピンク色のキャリーバッグを差しだされ、お礼を言いながら受けとった。

背を向けた後ろの方から、新幹線のドアが開く音がする。



「バイバイ、響くん。元気でね…」



本当は、バイバイなんてしたくないのにな。

また明日ね、って言っていつもどおりのお別れがしたい。



腹の底から寂しさがこみ上げてくる。

じわりと瞳が潤んできた。

泣きそうになるのを我慢しながら、下唇をぐっと噛んで手を振った。



くるりと背を向け、1歩踏みだしたところで響くんに腕を掴まれた。