「ひーくん。これでも満瑠ちゃんのこと、可愛いなんて言えるの?」



もう嫌だ。

やだ、やだ、やだ……。



「俺は……」



聞きたくない。

響くんの口から出てくる言葉なんて、聞きたくない。



そう思った瞬間、

私は全速力で走り出していた。



行くあてなんてないけれど、とにかく遠くへ。

もと来た道を、溢れて止まらない涙も拭わずに必死に走った。



スッピンを見られた。

いじめられていたことがバレた。



よりによって、いちばん知られたくない人に。