「満瑠、本当に探しに行かなくていいのか?」

「いいですよ、もう。探してると帰りがさらに遅くなってしまいます。ただでさえ、門限を過ぎてしまってるんですから」

「どっちみち門限には間に合わないんだから同じことだろ。ほら、探しに行くぞ」

「もういいですってばぁ!」



ガシッ、と右手を掴まれた。

引きずられるようにして、園内に再び入らされてしまった。



「黒い財布っつってたっけ?」

「そうです…。たぶん、女子トイレで無くしたと思うんです…」

「んじゃあ見てきて。俺は園内ぐるっと探してくるから」



響くんは私の背中をぽん、と叩くとゾウの檻の方角へ向かって走り出した。