「……っ」
響くんはずるい。
周りに聞こえないような声で、耳元にそっと息を吹き込むように優しく「一緒にいたい」だなんて…。
心が反応してしまう。
心が反応すると身体も反応して、奥底の方からじんわりと熱くなってくる。
「わ……わかり、ました…。行きます…」
「よっしゃ!じゃあ明日どこ行きたいか決めとけよ?決まったらまた教えて」
「はい。わかりました…」
私ってやつは…。
また響くんのお誘いにのってしまった。
まぁ、でも……。
断ったところでどうせ、放課後までしつこく「デートしよ」って言われるわけだし。
響くんはぜったいに諦めてくれなさそうだからな。
だから明日のデートは、仕方がなしにってことで。


